呆け物忘れ進行度

老いは未知との出会い 呆け物忘れ進行度 15・4月30日
 老いるとは未知との出会い桐一葉 富田昌宏.。この句に出会ったのは、今から10年くらい前のことだ。句をつくった富田さんは、俳誌『渋柿』同人として活躍された。83歳まで現役の農業人だったが、一昨年田圃に転倒して肢体不自由となり、昨年4月7日、84歳で急逝された。いろいろ教えていただいたが、上記の一句はまことに印象深い。70代半ばまでは、体も動いたし口も達者であった。しかしだんだん体力の衰えを感じた。80代に差しかかると一層それを痛感する。
 何しろ一日一日が早く過ぎる。何故かというと物忘れ呆けが進んで、探し物に時間がかかる。さらに動作が鈍くなる。若い頃は朝目覚めて三分で顔を洗って身支度をして出かけると威張っていた。今では朝起床してラジオ体操に出かける身支度に30分はかかる。いざ出掛けるとカギがないとか、マスクを忘れたとかで引き返す。そのくせ、掛けたはずのカギが掛かっていなかったりする。要するに一つのことをするにも、書類ひとつを探すのにも時間がかかりすぎるのだ。
 現在はようやく、そういう自分の状態を自己確認する段階に来た。要するに昔のようには動けないのだ。ジタバタしてもはじまらない。ユックリズムで何事も進める以外にないのだと言い聞かせる。そうすると人に逢うにも一日に複数の人とは会えない。約束は一日に一回だけにする。会いに行って約束の人が来て居なくでも腹が立たない。彼だって少しは呆けて来たのだろうと許してしまう。そういうふうに開きなおってみると意外に心地よい。何しろ多くの先輩友人はこの世にいなくなった。
 どうせ間もなくお迎えがくるのだから、気楽にゆっくり歩くことにしよう。ラジオ体操に行くとき九段坂を北の丸公園に向かってゆっくりと、杖を曳いて上る。多少時間に遅れてもいい。それより、柔らかい春の空と雲を見上げながら、なんてきれいなんだろうと楽しむことを覚えた。日々変化する公園の草花や樹木の緑が増すさまもまた捨てがたい魅力がある。呆けも物忘れも80代の老人として、当然のこととして受け入れてしまえばなんてことない。あせることもないのだとわかった。
 今朝は気になっていた、清水門の草むらに咲く小さな花、夕化粧を見つけた。といっても毎日草花の写真を撮りに来ている方から「この叢の中にいっぱい咲いていますよ」と教えていただいた。夕化粧という名前なのに朝咲いている不思議な花だ。可憐な夕化粧に今年初めて出会うことができた。そのせいか今日一日はとてもいい日だった。
 武器もたぬ者こそ勇者松の芯 富田昌宏
 朝咲ける花の名問はば夕化粧 漫歩
      (写真 アカバナ夕化粧 北の丸公園)

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徘徊老人

Author:徘徊老人
80歳の徘徊老人です。
趣味、杖を引いて歩くこと、
お四国歩き遍路、ごみひろい
路上公園などの観察、
キョロキョロ歩き
読書、眠り薬になること多し

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