寒の入り尿瓶と暮らす兜太翁

寒の入り尿瓶と暮らす兜太翁 17・1・9
 かつて当ブログで、年と共に寒がりになり、厚着して、暖房を使わないようにする。同時に湯たんぽで寝ることにしたと書いた。加えて約10年前から使っているものに尿瓶がある。当時八十八歳の金子兜太と鶴見和子の対談本「米寿快談 俳句・短歌・いのち」(藤原書店 2005年刊)を読んだことによる。この本全体が魅力的な話題にあふれている。鶴見和子さんは当時88歳、すでに78歳のとき脳出血に倒れ、半身不随で施設に入所されていた。対談はこの施設で行われた。鶴見さんはこのなかで「私は左側は全部痺れてます。頭のてっぺんから足のつま先まで。もちろん口の中もです。でも人間命が短くなると燃えるのよ。辞世の歌なんかいくつ作ったかわからない(笑)」と仰っていた。
 対談の中に「和子・兜太の養生訓」というのがあって印象に残った。当時88歳の金子兜太はそのなかで寒い時期は尿瓶を使い、旅をするときも持参すると話した。兜太の父親は死ぬまで元気だったが、健康に自信を持っていたが故に、寒いトイレに夜中に行って倒れた。そこで兜太翁は夜中のトイレは危険だと考え、尿瓶の使用を思いついた。しかも旅に出るときも携帯用の尿瓶を持参するという。徘徊はそれほどまでしないが、寒い冬の間だけは使用する。これは暖房のない部屋で寝ている老人の自衛手段でもある。兜太翁は「頻尿になったので、尿瓶の日常化ということが、私にとって非常に健康につながる」と語っている。
 私の友人の多くも夜中の頻尿に悩んでいる。だが尿瓶を奨めるとなんとなく躊躇する。同郷の友人もその一人だ。それで一緒に旅行して同宿すると何度も起きてトイレに行くので同室は断って別々に寝ることにしている。寒い時期、足腰が弱くなって部屋に閉じこもっている。そこで渋谷の東急デパートの介護用品売り場で尿瓶を買って新年の贈り物にした。近頃は尿瓶とはいわない。なんと「コボレーヌ」という名前で笑ってしまう。メール友達から「女性用はないのか」と聞かれたが今回店で確かめると女性用の「コボレーヌ」もちゃんと置いてある。夜中の頻尿に悩むわが老友男女たちよ。コボレーヌで安心安眠の夜を過ごしたまえと呼びかけたい。夜の風呂場やトイレで倒れる人の数は年間約1万5千人、今や交通事故の三倍以上ということも忘れないで・・。
 秋遍路尿瓶を手放すことはない 金子兜太
 春闌けて尿瓶親しと告げわたる    〃
 いのち気軽に尿瓶と暮らす河豚食べて 〃
 ぽしやぽしやと尿瓶を洗う地上かな  〃
 湯たんぽを抱いてみる夢君の夢 漫歩
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

就寝中の尿意は辛いですよね。起きたくない、でも漏れそうになる。エイヤーで起きて、靴下履いてトイレ。これが毎晩2~3度……。そうですか、女性用もあるのですか、でも、使いたくないです。まだ間に合いそうなので、体鍛えて、頑張ります。母の実家の豊橋の家では、土間があって、井戸外に出てトイレと風呂場でした。こんな生活が当たり前だったのですね。今は長生きの時代だけど、70、80になれば確実に肉体は衰えていきますものね。歪みみたいなものが、どこかに現れるのは免れませんね。夫が最近しみじみと「老いが順調に進んでるな」と言っています。
ようこそ!「老人はゆく」へ
「老人はゆく」へようこそ

徘徊老人

Author:徘徊老人
80歳の徘徊老人です。
趣味、杖を引いて歩くこと、
お四国歩き遍路、ごみひろい
路上公園などの観察、
キョロキョロ歩き
読書、眠り薬になること多し

最新記事
リンク
最新コメント
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR